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家族で連携することの大切さ
本日は、退院直後のある方より、ご家族からの介助時の声掛けが様々で、「頭が混乱して、分からなくなる」という話を聞きました。ご本人は脳梗塞によって身体機能が低下しています。詳しく聞くと、ベッドからトイレへ移動する際、まだ自身で方向転換がスムーズにできず、支える介助や声掛けの介助を要します。ご主人は、ご本人の動作が遅いことに苛立ち、「早く。そこ、回りなさい。」と、抽象的な声かけが多くなる様子で、ご本人はかなり混乱するそうです。一方、近隣住む娘さまは、声掛けは多く多少の混乱はありますが、ご本人のゆっくりしたペースに合わせて介助ができるので、「比較的やりやすい」と言います。
ご本人としては、まだ思ったように体をコントロールすることできず、迷惑をかけると申し訳なさを感じています。しかし、ご本人の体にはその介助による影響が出ており、実際に筋肉の緊張が過剰になっていました。介助一つが原因で体にも悪影響が出てしまうことは少なくありません。
今回は遠方住む息子さまも同席し、このような状況を踏まえて皆で向き合い、話す機会を設けることができました。「なかなかこういった機会が今までなかった」「具体的にどう向き合えばいいか分かった」「自分はどう行動するかが分かった」と話し、ご本人を通して、改めて皆さんが向き合う、良いきっかけになったと思います。
こういった介助一つのエピソードにおいても、ご本人やご家族「気づき」をもたらし、生活につなげることができるのは、作業療法士の技術の一つであると考えます。介助指導はその介助の「方法」を伝えるだけではありません。なぜその介助が必要なのかを伝えたり、ご家族間だけでは言いづらい本当の思いを代弁することもその一つです。そして、ご本人だけでなく、ご家族や周りが向き合って協力してサポートが可能になったとき、よりより良い生活につながると思います。
その場だけの刹那的な関わりでなく、その先の実生活につなぐ継続的な支援を可能にするリリーズのリハビリテーションにより、本日も一つのご家族が一歩を踏み出すきっかけに同席することができました。