3歩歩けば転倒、高次脳機能障害が理由で施設での生活を送られていた室内での歩行が自立し、希望していた自宅で暮らせるようになる
Y様
- 居住地
- 東京都港区
- 年齢
- 70代
- 性別
- 男性
- 診断名/症状
- 脳梗塞/高次脳機能障害
- 生活環境
- 施設入所
- 発症からの期間
- 8年
ご本人の希望
「家に帰りたい」「どっちでもいいよ」
「(したいことは)ないね」
ご家族の希望
二女「施設暮らしでいいと思います」「私は海外に戻るので、なにかあった時にもすぐには対応できません」
三女「お兄ちゃんが元気でいてくれるのが嬉しい」
孫 「元気でいてくれたらいい」
OTキャンプでの成果
支援当初は、屋内歩行で3歩歩けば前方に突進して倒れる状態でした。高次脳機能障害の影響もあり、ご自身の病気や状態を認識できず、易怒的になる場面も度々みられ、友人が判断や決定せざる得ない状況でした。また支援できるスタッフも限られていたため、施設内でも他者との交流はほとんどなく、赤外線センサーによって行動も管理がなされていました。
一方でAさんは「家に帰りたい」「帰れないなら飛び降りる」とこぼすほど、自宅へ帰ることをしきりに訴えていたため、自宅で独居生活ができるようにしてほしいという友人からの依頼で支援を開始しました。施設内での歩行器訓練に始まり、年単位で歩行能力が向上していった結果、遠方にいる妹へ会いに行ったり、同窓会に参加したり、レセプションパーティに参加したり、以前住んでいたところへ行ったり、本人の価値感に基づく活動を適切なタイミングで導入していきました。
結果、杖での屋内移動が自立し、念願だった独居での生活を送ることが可能となりました。歩行に関しても特定のPT/OT以外とも近所の散歩が可能となり、好きだった浴槽への入浴もできるようになったため毎日湯舟に浸かれるようになりました。依然、インシュリン注射の手順でエラーががみられるため、支援を要していますが、支援する側が認知症と誤解がないようにまた本人の自尊心を傷つけず支援できるようにフォローを行っています。
また、支援当初から、したいことはなくと判断・決断を委ねていたAさんですが、最近は自分で決めようとしたり、決断する場面も見られるようになりました。身近な人からも「すごくしっかりしている」「自分の状況がわかるようになっている」といった言葉も多くいただくようになりました。現在は、散歩以外のできる活動や参加できることを一緒に探しながら楽しむ中で、本人の興味・関心がみられたドライブや釣り、ジャズ鑑賞などを取り入れながら、生活の満足感や有能感につながるよう支援しています。
利用頻度:週2回 (自宅2時間、月1回の外出4時間~)
支援期間:2年(発症後8年目より支援開始)
現在の楽しみ散歩がてら、コーヒーを飲みに行くこと。月一のOTキャンプでの外出(助手席でのドライブ、温泉)。
今後やりたいことアユ釣り。ドライブ。鹿児島への旅行。
皆様へのメッセージ「継続は力なり」