終日ぼんやりしていて、車いす介助生活だった囲碁を楽しみ、歩いて家族と一緒に外食も楽しめるようになる
T様(仮名)
- 居住地
- 東京都世田谷区
- 年齢
- 90代
- 性別
- 男性
- 診断名/症状
- アルツハイマー型認知症、硬膜下血腫
- 生活環境
- 施設入所
- 発症からの期間
- 8年
ご本人の希望
「わからないなぁ」ご家族の希望
長男「少しでも元気になってくれたら」「どんな施設がいいかわからない」
「施設でのリハビリが少なく不安」
孫 「心のあるプロにみてもらいたい」
OTキャンプでの成果
当時入居されていた施設内で転倒後、硬膜下血腫となり、数回の手術。リハビリ病院入院時よりご家族の相談を受け、病院のソーシャルワーカーとも連携しながら、ご家族が望む施設選びより支援を開始しました。
リハビリ病院退院後の施設でも車いす介助生活を要しており、夜間は転倒リスクに配慮するため赤外線センサーによって、行動管理されておりました。日中は食事以外の時間をほぼ臥床していたため、昼夜逆転傾向で廃用症候群(フレイル)が徐々に進行している状況でした。
まずOTキャンプでは少し覚醒している時間を増やしていけるようにプログラムを立て、アプローチを開始しました。しかし、Aさんは常に傾眠状態であり、会話が成立せず話つづけないと起きていられない状況ではありましたが、趣味であった囲碁では自ら身体を起こして打つことができたため、当初は5分から最終的には2時間近く囲碁に没頭することも可能になっていきました。
現在ではアルツハイマー型認知症であっても、囲碁などをを介した自発的なコミュニケーションが他者とも可能となり、杖なしで近くのコンビニまで好きなどら焼きを買いにいけるようになりました。生活する施設においても、スタッフから「認知症の人」という立場にならないように、リハビリ内でできる活動を伝達し、施設での生活でもできるように繋げ、施設のスタッフともより良い関係性が構築できるよう支援しました。今では、麻雀やボッチャにも最年長の戦力として参加できるようになりました。
はじめはどう接していいかわからず、施設に頼りっぱなしだったというご家族も、外食機会、イベント・行事の参加を共にする中で、ご本人に対しての態度や認識に変化が生まれています。ご本人も「わからない」「さ~」など決まった返答が多く会話にならなかった状況から、一緒に実践を追うごとに言葉のボキャブラリーが増えて、いまでは会話ができることや顔を憶えていたりと、意識や記憶にも変化がみられています。
利用頻度:月2~4回 (外出時8時間、施設1時間~2時間)
支援期間:2年(発症後6年目より支援開始)
現在の楽しみ碁を打つこと。美味しいものを食べること。
今後やりたいこと「京都に行きたいね」
皆様へのメッセージ(元気の秘訣は)「よく寝て、よく食べて、よく笑うこと 」