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【注意】「すぐ認知症と言わないで!」いま見直したい関わり方

皆さんこんにちは、OTの平川です。

私は先日のあるクライアントの友人の悩み

他者から認知症ではないのに、「認知症だ」「○○さんは、認知だから」と少し高齢で話がかみ合わないと、すぐに認知症と言われている。腹が立った。

という話を聞きました。このケースについて皆さんと考えていきたいと思います。

 

登場人物:クライアント(70代の男性で、独居しています)。彼は数回の脳梗塞の後遺症として、左右に麻痺が残っており、高次脳機能障害の症状も見られてます。ただし、認知症の診断はなく、私のアセスメントでも認知症ではないと考えています。彼は毎日、複数のヘルパーが立ち代わりで訪れ、心を許せる友人やOTのサポートも受けています。

 

エピソード:ある日、クライアントが友人に対して「自分は迷惑をかけているんだ」「いないほうがいいんだ」と心の内を漏らしました。このようなネガティブな発言の原因はさまざまですが、友人からは「ペルパーさん(ヘルパーの名前)がクライアントを認知症と話してきて、それがイラっとした」という話がありました。さらに、友人が同行したクライアントの眼科受診では、クライアントが看護師からの指示が理解できなかったために、小さく舌打ちされたり、わざとらしく口調で説明させたり、陰で「この人は認知だから」という言葉を聞いたそうで、友人は大変不快な思いをしたと話してくれました。

 

私はこのエピソードを聞いて、いくつか皆さんと共有したい考え方があります。

 

まず、認知症についての基礎知識を紹介したうえで、

・問題提起① 「認知症」を簡単に使わないでほしい!

・問題提起② 関係性「する側/される側ではなく、対等な関係」

・OTが伝えたい、大切にしたい考え方「病ではなく、人として」

こちらの3つのお話を共有したいと思います。

 

【認知症の基礎知識:種類と症状】

認知症はさまざまな種類や症状があります。

1. アルツハイマー型 – 脳の働きが低下する病気 アルツハイマー型は、主に高齢者に見られる病気です。この病気では、脳の中でタンパク質が異常にたまり、神経細胞の働きが低下してしまいます。記憶力や認識能力が徐々に悪化し、日常生活に支障をきたすことがあります。

2. レビー小体型 – 異常なたんぱく質が影響する病気 レビー小体型は、脳内で異常なたんぱく質がたまることによって引き起こされる病気です。この病気では、認知機能の低下やパーキンソン症候群の症状(震えや筋肉のこわばりなど)が現れます。また、幻覚や錯乱状態もよく見られる特徴です。

3. 脳血管障害型 – 血管の問題が引き起こす病気 脳血管障害型は、脳の血管に問題が生じることによって引き起こされる病気です。例えば、血管が詰まったり破れたりすることで、脳の酸素や栄養が不足し、脳機能が損なわれることがあります。この病気には脳卒中や脳梗塞が含まれます。

4. 前頭側頭型 – 感情や行動のコントロールが難しくなる病気 前頭側頭型は、前頭葉や側頭葉といった脳の特定の領域に障害が生じることで引き起こされる病気です。この病気では、感情や行動のコントロールが難しくなります。思いやりや社会的なルールを守ることが難しくなり、時には無遠慮な行動をとることがあります。

5. パーキンソン型 – パーキンソン病は、脳の一部である「黒質」と呼ばれる部位が損傷を受けることで引き起こされる病気です。この部位の損傷により、体の動きが制御しにくくなります。震えや筋肉のこわばり、動きの鈍さなどが現れることがあります。

これらは一部の代表的な認知症の例ですが、実際にはさらに多くの種類があります。それぞれの認知症は、症状や進行の速さ、治療法などにおいて異なる特徴を持っています。正確な診断と専門家の指導のもとで、個々の症状やニーズに合わせたケアが行う必要があります。

 

【問題提起①】「認知症」を簡単に使わないでほしい!

声を大にして言いたいことがあります!それは、「何でもかんでも『認知症』と診断するのはやめてください!」ということです。

認知症という病気は存在しますが、私たちはその言葉を軽々しく使いすぎている傾向があります。特に年齢相応の認知レベルを持つ人々に対しても、簡単に認知症というラベルを貼りがちです。しかし、この言葉はネガティブに使われることが多く、注意が必要です。

それぞれのクライアントは年齢や状況に応じて異なる認知レベルを持っています。私たちは彼らの個々の能力や特性を認識し、認知症という診断を適切に行うべきです。認知症という言葉を軽率に使うことで、クライアントに対して誤った印象を与えてしまうことがあります。

ここで重要なのは、私たち一人一人がクライアントの環境因子になるということです。環境因子とは、物理的な環境だけでなく、人的な環境も含まれます。私たちの発言や態度がクライアントに大きな影響を与えることを忘れてはいけません。

もし自分が高齢になったときに、誰かが「あなたは認知症だから」と陰で言っているのを聞いたら、どう感じるでしょうか?自分の病気によって何もできなくなり、存在意義を失いたいと思っているならば、不安な気持ちが増すでしょう。私たちはクライアントを元気づける存在であり、彼らの自尊心を高めることができる存在でなければなりません。だからこそ、クライアントの立場に立ち、彼らの気持ちを理解することが非常に重要だと思います。

 

【問題提起②】関係性「する側/される側ではなく、対等な関係」

特に高齢・病気になると、自分ができないことが増えていくため、生きる意味を見失い、生きる意欲が低下してしまう方も少なくありません。介護を受ける側として、弱者の立場に陥ってしまうケースはよく見受けられます。一方で、介護をする側は「私はこんなにしてあげているのに!」という感情が強くなり、両者の関係性のバランスが崩れ始めることがあります。

今回のエピソードでも、ヘルパーや看護師の話からも分かるように、「してあげている」という気持ちが自然に現れ、雰囲気や態度に反映され、当事者にも伝わってしまうことがあります。介助者やヘルパー、友人、ケアマネージャー、医療従事者などの「する側」と、クライアントや当事者という「される側」との関係性は、よくある状況です。しかし、お互いが協力し尊重し合い、対等な関係性を築くことができれば、双方が気持ちよく生きることにつながると考えます。互いを尊重したり、感謝したり。対等な関係性を目指すことで、当事者が自身の能力や価値を否定されているような感覚を防ぐこともできるはずです。改めて関係性を見直し、対等な関係性を目指すと同時に、私たちの言葉や態度を振り返る必要があると思います。

 

OTが伝えたい、大切にしたい考え方【病ではなく、人として】

相手を理解する上で病名や症状を知ることは重要ですが、それだけでは不十分です。個々の人格や経験を尊重する気持ちが重要です。

医療現場でも知らず知らずのうちに「認知症の○○さん」といった形で、病名で人を認識してしまっていることがあります。私は以前、ある方の講演でこの話題を聞き、改めて自分自身も振り返る機会を得ました。私たちはしばしば病として人を認識したり、ロボットではないのにデータや数値で人を評価してしまったりすることがあります。このものの見方考え方・捉え方は大変恐ろしいことだと思います。もし私が病になったとしても、私を見るのは病ではなく、人として見てほしいと願うでしょう。

私たちは環境要因として、当事者に大きな影響を与える存在です。この環境が当事者の生きる力を低下させることもありますが、逆に大きな生きる力となる場合もあります。当事者が病と共に前進しようとするとき、私たちが後押ししてサポートする存在になれたら、それは非常に喜ばしいことだと思います。病は当事者やその家族にとって大きな試練ですが、私たちの在り方次第でその試練を乗り越え、対等な関係を築くことができるはずです。

さらに、「する側/される側」という関係性や、「(当事者)この人がいないと何もできない」「(介助者)私がしてあげないと何もできないのよ」といった共依存の関係は、ストレスや疲労の蓄積や介護うつの原因となることもあります。それによってますます負のスパイラルに陥り、クライアントへの理解や思いやりも薄れるかもしれません。前提として私たち自身の心のケアは非常に重要です。自分自身が幸せでなければ、良い関わりはできません。自分自身のメンタルヘルスをケアし、バランスを保つことが必要です。定期的な休息やリフレッシュの時間を確保し、自身のサポート体制を整えましょう。

私たちOTは、当事者だけでなく周りの家族や関係者もバランスをみながら、状況に応じてフォローしていきます。今回のクライアントのケースでは、不協和音を生んでいたヘルパーさん方に対して、クライアントとの認識や関わり方について教育やサポートを行いました。介助をする側も不安や戸惑いを抱えているかもしれませんが、このようなケースを学びに変えて、皆さんが充実した人生を送るためのヒントになればと思います。

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